インターメディアジャパンは、2018年10月8日から10日にかけて、駐日ベナン共和国大使館へ向けた関西地域の視察ツアーを開催した。ツアーの狙いは、ベナンをさらなる発展へ導く手がかりを得ることだった。
成功裏に終わったこの3日間のツアーには、駐日ベナン共和国特命全権大使であるアデチュブ・マカリミ・アビソラ閣下、領事のアラベ・ポゴド・ヤバヴィ氏、公式通訳のマウティ氏にくわえ、株式会社ケセラセラの共同創設者さのけいいち氏、インターメディアジャパンからは創設者ピア・フォンワルダウが参加した。ベナンと日本が、農業、健康、デジタル経済の3分野で関係を深化させることが、このプログラムの目的である。
この類まれなツアーの初日は、大阪のケセラセラ本社から始まった。まず近畿経済産業局の局長、森清氏よりごあいさつを頂き、その後、大阪府知事の事務所に移動して松井一郎知事と会談を行った。また、視察の予定には大阪イノベーションハブも組み込まれていた。ベナン政府には、自国を西アフリカ地域におけるテクノロジーの拠点とし、デジタル産業のリーダーとしていきたい考えがあるためだ。大阪イノベーションハブは、新たなアイディアをより持続可能なものへと発展させる役割を担う施設である。ベナン政府は以前より、テクノロジーとイノベーションこそが、国家に持続可能性と成長をもたらすと提唱し続けている。その後一行は奈良県知事の荒井正吾氏を訪ね、ツアー初日は終了となった。真のヒューマニストとして知られる荒井知事は、ベナンの人々の美しさと優しさに感銘を受けた様子だった。
ベナンの農業は、途方もなく大きな可能性を秘めていることで知られている。しかし、農業従事者の技術と知識の不足から、国民の需要に供給が追い付いていない。最終日の10月10日、アビソラ大使率いる代表団は、奈良県農業大学校で農業分野の最新技術を視察した。
ベナン政府はこの視察から、自国の農業の膨大な可能性を引きだし、発展させるために、日本の技術がいかに重要な構成要素となり得るか、知ることができた。ベナン政府には、国民に十分に行きわたる食料を生産し、さらに近隣の国々へ食料を供給するという目標がある。候補の一つである隣国のナイジェリアは、その国だけで2億近い人口を抱える一大マーケットだ。
農業分野におけるビジネスチャンスもまた話題の中心となった。大和農園をビジネスとして成功させた奈良経済同友会の代表幹事、吉田裕氏は、植物の優良な種子を生産し、アジア全域に供給している人物だ。吉田氏は現在、今年12月にベナンを訪れる計画を立てている。
さらに、ベナン政府は、国民に質の高い医療サービスを提供することを最優先課題としている。奈良県立医科大学を訪問した一行は、理事長・学長である細井裕司氏に温かく迎えられた。常にイノベーションを重要視してきた奈良医科大学は、今年創立70周年を迎え、現在は日本における最高水準の医療英語学習プログラムの開発に力を注いている。ベナンの代表団は、細井学長が始めた医学を基礎とするまちづくり構想に強い関心を示した。
最後に、一行は長谷寺を訪ね、真言宗豊山派管長の田代弘興化主と共に、信仰について考えるひとときを持った。ベナンはブードゥー教発祥の地である。田代化主とアビソラ大使は、精神的存在の重要性や、平和で平等な世界に向けて貢献する方法について語り合った。
ベナン大使館の代表団にとって、このツアーは、関西地域の可能性をこれまで以上に理解し、東京以外の中小企業が果たす重要な役割について学ぶ良い機会となった。同様に、インターメディアジャパンが紹介した政界や経済界のリーダーたちは、誰もがベナンについて好印象を抱き、ベナンについてもっと知りたい、さらには現在のベナン政府に協力したいという積極的な姿勢をみせた。
ベナンと関西地域の要人との新たな関係をさらに発展させるため、引き続き、2019年もいくつかのビジネスセミナーや文化イベントを開催していく予定である。